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認知症を見据えた不動産売却の成年後見制度と手続きの備え方について

親が高齢になるにつれて、財産の管理や将来の住まいについて不安を感じていませんか。判断力が低下し始めたときに直面するのが、不動産の売却を巡る悩みです。自宅を手放したいけれど、本人の意思確認が難しい、契約行為は有効なのか、トラブルに巻き込まれないか。そんな疑問に戸惑う家族は少なくありません。

 

認知症が進行する前に対策を講じておくことは、財産を守るうえで非常に重要です。意思能力を伴わない契約は無効と判断される可能性もあり、売主や買主、不動産会社を含めた全ての当事者がリスクを抱えることになります。そこで注目されているのが成年後見制度の活用です。家庭裁判所の審判を経て成年後見人を選任することで、法的な支援を受けながら適切に契約や手続きを進めることが可能になります。

 

認知症による法的リスクを回避し、円滑な売買を実現するためには、司法書士や弁護士といった専門家の助言を得ながら、制度の仕組みを理解することが欠かせません。放置すれば、いざ不動産を処分したいときに自由な売却ができず、結果的に損失を生む恐れもあるのです。

 

最後まで読むことで、成年後見制度の具体的な流れや費用の注意点、信託との違い、そして家族の負担を軽減する実践的な方法が分かります。大切な財産を守るために、いま何を準備すべきかを一緒に確認していきましょう。

 

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不動産を売るときに認知症が関係してくる理由

不動産の売却に必要な判断力とは

不動産の売却には、本人が内容を理解し、自らの意思で判断できる状態であることが求められます。これは法的な要件でもあり、「意思能力」と呼ばれる概念が重要になります。意思能力とは、取引の内容や結果について十分に理解し、自身の判断で同意・契約ができる能力を指します。つまり、誰かの指示に従うのではなく、本人が自発的に売却の意味を認識し、判断していることが必要です。

 

この意思能力があるかどうかは、表面的な受け答えや日常会話では判断が難しいこともあります。不動産の売却では高額な財産が動くため、判断の誤りが生活に大きな影響を及ぼす可能性があることから、特に慎重な確認が求められます。司法書士などの専門職が登記の際に意思確認を行いますが、本人確認書類だけでなく、面談での受け答えや表情、受け止め方などから総合的に判断されます。

 

契約書に記された内容について本人が理解しているか、契約後に生じる責任や手続きの流れを認識しているかなどが確認されます。これが不十分であると判断される場合、売却契約そのものが無効とされる恐れもあるため、家族や関係者にとっても重大な課題となります。

 

このようなリスクを防ぐためには、早い段階での状況把握が重要です。特に高齢者が所有者である場合、売却の意志が生まれた時点で専門家と連携し、意思能力が確保されているうちに手続きを進めることが大切です。これにより、後々トラブルになることを防げるだけでなく、円滑な取引にもつながります。

 

意思能力の確認と売却手続きの関係

 

確認項目 内容 関連する手続き
本人確認 氏名・年齢・住所の確認 登記申請・契約締結
意思表示 売却の目的と内容の理解 契約書内容の確認
判断能力の確認 不動産の価値・手続きの流れの認識 司法書士による面談
書類理解度 契約書の意味やリスクの把握 契約前説明と署名

 

判断が難しい状態とはどのようなケースか

日常生活では特に支障がなく過ごせていても、いざ不動産を売却するという場面になると判断が難しい状態が表面化することがあります。物忘れが頻繁であっても日常的な会話が成立するため、周囲が認知機能の低下に気づかないまま重要な判断を求められる状況に入ることがあります。

 

不動産の売却は、その場の思いつきや曖昧な理解で進められるものではありません。売却金額、権利の移転、税金の発生、契約後のトラブル対応など、長期的な視点や複雑な判断が求められる場面が多くあります。そのため、日常生活では認識されにくい認知機能の低下が、契約の場面で大きな障害となるのです。

 

このような状態で無理に契約を進めてしまうと、後になって契約無効を主張される可能性が高まります。実際に、売却契約を結んだ後に「本人が内容を理解していなかった」「納得していなかった」という主張が生じることは珍しくありません。その場合、買主とのトラブルに発展することもあり、取引全体が振り出しに戻るリスクがあります。

 

判断が難しい兆候として注意が必要な状況

 

状態 売却時のリスク 推奨される対応策
書類内容が理解できない 契約無効の恐れ 家族同席・専門家の説明
売却の目的を忘れている 意思能力の不在と判断 医師の診断・記録の取得
同じ説明を何度も求める 情報処理の困難 柔軟な進行と時間確保
急に不安を訴える 判断の揺らぎ 契約延期・再確認

 

このようなケースでは、売却のタイミングを調整したり、必要に応じて成年後見制度の利用を検討することで、リスクを最小限に抑えることが可能です。とりわけ、診断書の取得や専門家による同席記録を残すことは、万一の際に非常に有効です。

 

親が認知症と診断されたときに不動産をどう扱うか

名義が親のままではできない手続き

親が認知症と診断されたとき、不動産の扱いには大きな制約が生まれます。特に所有名義が親のままである場合、法律的な観点から不動産の処分や契約が困難になります。たとえば登記の変更や売買契約の締結などは、当事者に十分な判断力があることが前提とされており、認知症によってその能力が欠けていると認められると手続きそのものが無効になる可能性があるのです。

 

民法では法律行為の有効性を「意思能力の有無」によって判断しています。この意思能力とは、契約内容や行為の意味を理解し、判断できる力を指します。不動産の売買契約は高額かつ重要な法律行為であるため、本人が自ら理解し、同意していることが不可欠です。つまり、親が認知症と診断された場合、その程度によっては不動産売却の話し合いや契約に参加できなくなることもあります。

 

実際には、不動産を処分したいという家族の意向があっても、名義人である親が契約に参加できなければ進めることができません。このような場合に備え、家族信託や任意後見制度の活用が検討されることもありますが、いずれも事前の準備が必要です。

 

意思能力の有無を判断するためには、医師の診断書や専門家による意見が求められることがあります。売却時に本人が契約書に署名したとしても、のちに意思能力の欠如が認められれば、契約は無効となる可能性があります。こうした事態を避けるためにも、診断結果や家族間の協議の記録を残しておくことが大切です。

 

家族が進めるべき手続きとその内容

 

手続きの内容 判断力が必要とされる理由 影響を受ける場面の例
所有権移転登記 売買契約に基づき名義変更するには本人の意思が必要 登記申請に本人の署名が求められる
売買契約の締結 契約内容の理解と同意が必要 契約後に意思能力が問題視されることも
不動産会社との媒介契約 契約を締結するには正確な理解が前提 仲介依頼に対する説明が理解できない
金銭の授受・決済手続き 売却代金の受け取りと確認が必要 認知症が進行して意思確認が不可能な場合

 

判断力が問われる手続きは多岐にわたり、親が認知症と診断されてからでは対処が難しくなる場面も少なくありません。早い段階から不動産の管理方針について家族で話し合い、将来に備えておくことが重要です。

 

書類の準備と相談の順序

親の認知症により不動産の手続きが進められなくなる前に、必要な書類や相談の段取りを知っておくことは極めて重要です。特に不動産を売却する場合、どの書類をどの順番で用意し、誰に相談すべきかを把握しておくことが、スムーズな対応につながります。

 

不動産の売却に際しては、まず名義人の本人確認書類や登記簿謄本、固定資産税の納付書などが基本的な準備書類となります。認知症の診断を受けた場合には、医師による診断書や意思能力の有無を示す資料も重要になります。これらの資料が揃っていないと、司法書士や不動産会社が売却手続きに進むことができません。

 

親がすでに判断力を失っている場合、家庭裁判所で成年後見人を選任する手続きが必要になります。この申立てには一定の時間がかかるため、早期に準備に取りかかることが大切です。誰が後見人になるのか、親族間での合意形成も求められます。

 

不動産売却に向けた準備と相談の流れ

 

ステップの内容 具体的に必要となる書類例 相談先の機関または担当者
所有者情報と物件の確認 登記簿謄本、固定資産税通知書 不動産会社、司法書士
本人確認と意思能力の確認 健康保険証、診断書、意思能力を示す評価書類 医師、行政書士、家族
成年後見制度の検討 家庭裁判所への申立書、本人情報、親族関係説明書等 弁護士、家庭裁判所
売却手続きの相談 上記全ての書類、親族の委任状など 不動産会社、司法書士、弁護士など

 

必要書類の取得と相談の順序を正しく理解しておくことで、無駄な手戻りやトラブルを避けられます。認知症の診断がなされてから焦って手続きを始めると、対応が後手になり売却までに長い時間がかかる可能性もあるため、早めの情報収集と準備が何より重要です。家族だけで解決しようとせず、専門家の意見やサポートを活用することが結果的に円滑な手続きにつながります。

 

成年後見制度を活用する方法

利用できる人の条件と進め方

成年後見制度は、高齢者や認知症の症状が進んだ方にとって重要な法的支援手段のひとつです。この制度を利用するには、一定の条件と手続きが定められており、あらかじめ全体の流れを理解しておくことで、スムーズに対応することが可能になります。成年後見制度の利用対象となるのは、判断力が著しく低下し、自分で契約や財産管理を適切に行えない方です。本人の生活状況や医師の診断書をもとに、家庭裁判所が適用の可否を判断します。

 

申立ての手続きは、原則として本人または配偶者、四親等内の親族、あるいは市区町村長などが行います。申し立てる際には、必要書類の準備が不可欠です。

 

申立てに必要な書類と提出先

 

書類名 内容概要 提出先
申立書 制度利用の趣旨と対象者の情報を記載 管轄の家庭裁判所
本人の診断書 精神的・認知機能の状態を証明 主治医より取得
戸籍謄本 親族関係を確認 本籍地の市区町村役場
財産目録 預貯金や不動産等の財産一覧 申立人が作成
収支状況報告書 日常生活の収支を記載 申立人が作成

 

申立てが完了すると、家庭裁判所によって本人面談や医師意見書の検討が行われ、最終的に成年後見人が選任されます。この過程には数か月かかることもあるため、早めの準備が求められます。本人の意思が確認できるうちに進めておくことが、後のトラブル防止にもつながります。

 

家の売却に必要な手続きとは

成年後見人が家庭裁判所により正式に選ばれた後、不動産売却に関する具体的な手続きが進められます。しかし、この制度下での不動産の売却は、一般的な名義人による売却とは異なる流れとなり、注意すべき点が多くあります。特に大切なのは、売却の可否と条件について裁判所の許可が必要になることです。

 

成年後見人は、本人の利益を最優先に考えて行動する法的責任を負っています。そのため、仮に本人の生活費の確保や施設入居費用の捻出といった目的がある場合でも、不動産を売却するには明確な理由と売却価格の妥当性が求められます。

 

成年後見人が不動産を売却する際に必要となる手続きの一部

 

手続きの名称 具体的な内容 実施主体
家庭裁判所の許可申請 売却の必要性と価格妥当性の説明資料を提出 成年後見人
売買契約の締結 売却先との契約締結 成年後見人
登記の変更手続き 所有権移転のための登記変更 成年後見人(司法書士へ委任も可)
売却代金の管理 収入を本人の生活費等に使途限定で管理 成年後見人

 

家庭裁判所への許可申請時には、不動産査定書や売買契約書の案、売却理由を示した文書などが必要です。売却が本人の不利益にならないか、価格は相場と合致しているかといった点を第三者が見ても納得できるように準備することが重要です。

 

売却後に得られた金銭についても後見人が管理を行います。自由に使えるわけではなく、本人のための費用としてのみ使用が認められています。仮に不要な支出を行った場合、後見人としての責任が問われる場合もあります。

 

判断力があるうちに使える仕組み

任意後見と委任契約の違い

将来的に判断力が低下した場合に備えて、不動産を含む資産の管理をどのように進めていくかを考えることはとても重要です。その中でも、任意後見契約と委任契約は、判断力がある段階で締結できる仕組みとして注目されていますが、それぞれの制度には明確な違いがあります。

 

任意後見契約とは、公証役場での手続きによって契約を結び、本人の判断力が低下したと家庭裁判所が認めた時点で発効する制度です。任意後見人は家庭裁判所の監督を受けながら、本人の財産や生活の管理を担います。委任契約は判断力が十分ある時点からすぐに効力を持ち、本人の意思で契約内容を柔軟に定めることが可能です。

 

それぞれの制度の基本的な特徴

 

項目 任意後見契約 委任契約
発効のタイミング 判断力が低下し、家庭裁判所が認めたときから 契約締結後すぐに効力発生
手続き方法 公証役場での契約、公正証書の作成が必要 書面による契約で可(公正証書が望ましい)
裁判所の関与 家庭裁判所の監督あり 裁判所の関与は基本的にない
柔軟性と自由度 制度として定型的、監督があるため自由度は低め 本人の意思で内容設定可能、柔軟性が高い
対象となる行為の範囲 財産管理や生活支援など広範囲 任意で設定、必要な範囲だけ委任できる

 

任意後見契約は判断力が失われた将来に備える「準備型」の制度であるのに対し、委任契約は今の生活をサポートする「現行支援型」の契約だといえます。不動産に関して言えば、任意後見契約では将来的な売却・管理の権限を持たせることができますが、実際の行為には任意後見人の発効後まで待つ必要があります。委任契約であれば、本人の意向に沿ってすぐに売却手続きなどが行えるという特徴があります。

 

家族信託での進め方

家族信託は、判断力がある段階での資産管理・運用手段として、近年ますます関心が高まっている方法の一つです。信託とは、財産を持つ人がその管理や処分を信頼できる家族に託す仕組みであり、特に不動産の所有や運用において柔軟な対応が可能となります。

 

信託の活用では、本人が「委託者」として不動産などの資産を信託し、その管理・運用を「受託者」である家族に任せる形となります。このとき、最終的にその資産を受け取る人は「受益者」として指定されます。信託は契約によって自由に設計できるため、本人が元気なうちに家族との合意のもとで細かな内容を決めることが重要です。

 

次のような構成で家族信託は成立します

 

役割 説明
委託者 不動産などを持つ本人。信託契約を通じて資産を信託する
受託者 委託者が信頼して管理を任せる家族(子どもなど)
受益者 信託された財産の利益を受け取る人。委託者自身とすることも可
信託財産 管理・運用の対象となる資産(例 自宅、賃貸物件)

 

信託契約によって、例えば自宅を子どもに信託し、必要に応じて売却や管理を任せるといった運用が可能となります。認知症などで判断力が低下した後でも、信託契約に基づいて受託者が対応を継続できるため、裁判所の関与を必要とせずスムーズな資産管理が行えるという利点があります。

 

ただし、信託契約の設計には法的な知識が必要であり、信託財産の扱いや税務上の整理も考慮する必要があります。したがって、家族だけで判断せず、司法書士や弁護士などの専門家に相談しながら進めることが大切です。こうした準備を判断力がしっかりしている段階で行うことで、不測の事態にも備えやすくなります。

 

手続きを始める前に知っておくと役立つこと

家族で共有しておくべき話し合いの内容

親が高齢になり、判断力の低下が懸念される状況では、家族間での話し合いが将来の混乱を避ける大きな鍵となります。不動産の扱いについては、実際に売却や名義変更などを進める際に、家族の意思が揃っていないと手続きが滞ることが多く、感情的な対立を生むこともあります。そのため、事前にしっかりと認識を共有しておくことが重要です。

 

まず確認すべきは、親自身の希望です。まだ意思表示が可能なうちに、「将来的に自宅をどうしたいのか」「誰に管理を任せたいのか」など、本人の意向を正確に聞き取ることが大切です。兄弟姉妹間での役割分担についても、あらかじめ決めておくことで、後のトラブルを防ぎやすくなります。

 

具体的な話し合いの内容

 

話し合うべき項目 内容のポイント
不動産の今後の方針 売却・保有・賃貸などの選択肢を検討
財産管理の主体 誰が管理や契約などの手続きを担当するか
費用分担 管理費や維持費の分担方法
法的な準備 任意後見契約や家族信託などの利用有無
親の意思確認 本人の明確な希望と現状の意思表示能力

 

こうした話題を避けがちになる家庭も多いですが、できるだけ早い段階で、形式ばらず丁寧に話す時間を設けることが、信頼関係を保ちながら準備を進める鍵となります。話し合った内容をメモに残したり、定期的に確認することで、情報のすれ違いも防げます。

 

意思能力があるうちに意思表示を確認しておくことは、法律的にも重要な意味を持ちます。本人の同意がなければ名義変更や契約は進められません。そのため、家族全体で方針を固め、必要に応じて早めに手続きの準備を始めることが望まれます。

 

準備の流れと使える相談先

実際に不動産の売却や名義変更などの手続きを行う前には、事前に何を準備し、どのような順序で進めればよいのかを理解しておく必要があります。認知症が疑われる場合や判断力の低下が見られるケースでは、手続きが複雑になるため、早めの行動が重要です。

 

まず確認するべきは、現在の不動産の名義と評価状況です。名義が親になっている場合は、親の意思能力があるかどうかが問われます。意思能力があると判断される場合は、通常通り売却手続きに入ることが可能ですが、判断力に問題があると判断されれば、法的な保護手続きが必要となります。

 

手続きを円滑に進めるための流れ

 

ステップ 内容
現状の確認 不動産の名義・所在地・資産評価の確認
意思能力の判断 医師の診断や第三者評価を得ることも検討
家族間の話し合い 不動産の方針と役割分担の確認
必要書類の準備 登記簿謄本、固定資産税納税通知書、身分証明など
法的支援の検討 成年後見、任意後見、家族信託の必要性を確認
相談先の選定 司法書士・行政書士・地域包括支援センターなど

 

相談先については、状況に応じて複数の窓口を活用すると安心です。地域の包括支援センターでは、介護や生活に関する全般的な相談ができます。法的手続きに関しては、司法書士や行政書士が具体的な助言を行ってくれるほか、必要書類の整備や申立てもサポートしてくれます。

 

市区町村の窓口では、後見制度や任意後見契約に関する説明を受けられるケースもあり、最初の情報収集の場として有効です。不動産会社を活用する際には、高齢者や後見制度に詳しい担当者がいるかどうかも重要なチェックポイントです。

 

準備を始める際には、一度にすべてを整えるのではなく、段階的に確認しながら進める姿勢が現実的です。焦らずに一つずつ情報を整理し、必要に応じて信頼できる専門家の意見を取り入れることで、負担を軽減しながら進めることができます。

 

手続きにかかる費用や時間について

制度ごとの費用と手続き期間の目安

親の判断力が低下したとき、資産の管理や処分を誰がどのように担うのかは非常に重要な課題です。手続きを進めるにあたっては、どの制度を選ぶかによって必要な準備や進行の速さ、かかる費用などが変わってきます。代表的な制度には、成年後見制度、任意後見制度、家族信託がありますが、それぞれの制度は目的や対象となる状態が異なっているため、選択には慎重な検討が求められます。

 

手続きの開始時期、準備に要する期間、必要になる費用の傾向

 

制度名 開始時期 手続きの流れ 所要期間の目安 想定される費用の項目
成年後見制度 判断能力が低下した後 医師の診断→申立→審理→審判→後見人選任 数か月かかる場合もある 医師の診断書、申立書作成、鑑定等
任意後見制度 判断能力があるうちに契約 公証役場で契約→将来、後見監督人選任で発効 契約自体は短期間 公正証書の作成費用、後見監督人の報酬等
家族信託 判断能力があるうちに契約 信託契約書作成→財産移転→登記(不動産等の場合) 比較的スムーズに可能 契約書作成、登記手続き、司法書士報酬等

 

この表からもわかるように、判断能力がまだしっかりしている段階で備えるなら、任意後見制度や家族信託が柔軟に対応しやすい仕組みです。これに対して、すでに本人の意思確認が難しい場合には成年後見制度が用いられますが、準備や裁判所での手続きを含むため時間もかかります。

 

各制度では費用の発生する場面や対象が異なり、どの程度の費用がかかるかをあらかじめ見通しておくことが大切です。任意後見制度では契約そのものの手数料や、将来的に後見監督人が選任された後の費用も考慮しなければなりません。家族信託では不動産登記が発生する場合には別途の実費も見込まれます。

 

制度選びは生活設計や家族の関係性にも大きく関わる問題です。目先のことだけでなく、将来にわたって安定的に資産を管理できるかどうかという観点からも、それぞれの制度をしっかり比較し、必要に応じて専門家の助言を受けながら進めることが望ましいでしょう。

 

必要になる書類やその入手方法

手続きの正確さと円滑な進行を確保するには、必要な書類をあらかじめ理解し、的確に準備することが重要です。後見制度や家族信託などの各制度において求められる書類は共通する部分もありますが、制度ごとに異なる特有の書類も存在します。書類の提出先や入手先も多岐にわたるため、順序を整理しながら準備する姿勢が求められます。

 

制度ごとの必要書類や入手方法、書類を誰が用意するのか

 

制度名 主な必要書類 入手先・作成方法 主な準備者
成年後見制度 医師の診断書、申立書、財産目録、親族関係図など 医療機関、市役所、家庭裁判所書式等 家族、申立人(代理人も可)
任意後見制度 任意後見契約書、公正証書、本人確認書類 公証役場、本人が提出する資料等 本人および受任者
家族信託 信託契約書、財産の明細、登記関連書類(不動産等) 弁護士・司法書士作成、登記所等 委託者、受託者、専門家

 

成年後見制度では、医師による診断書や家庭裁判所への申立てに必要な書類一式が求められ、提出の際には形式的な正確さも問われます。これに対して任意後見制度では、公証役場での契約手続きが中心となり、本人が自分で契約する意思を明示できる必要があります。家族信託においては、信託契約書の内容が法的に整っていることが重要で、財産の種類によっては登記に関する書類の作成や手続きも含まれます。

 

特に注意すべき点として、いずれの制度でも住民票や印鑑証明といった公的証明書が必要になる場面が多く、これらは市区町村の役所で取得できます。家族関係を示す書類や資産の状況を正確に反映させる資料が必要とされる場合もあるため、普段から整理しておくことが役立ちます。

 

書類の準備は一人で完結できる内容ではなく、制度の目的や契約内容によっては法律専門家のサポートが欠かせません。安心して手続きを進めるためにも、準備段階から専門家に相談することで、誤りや不足のない状態で各制度に対応できるよう整えていくことが望まれます。各制度が求める要件を理解した上で、必要な書類を的確に用意することが、その後の流れを円滑に進める鍵となります。

 

まとめ

親の認知機能が低下し始めたとき、不動産の処分や管理に関する問題は避けて通れません。特に売却を検討する場合、本人の意思能力が問われ、判断力の低下が契約の有効性に大きく影響します。意思が明確に確認できないまま契約を進めてしまうと、後に無効となる可能性があり、当事者全体に深刻なトラブルをもたらすこともあります。

 

そのような状況を避けるためには、成年後見制度や信託の活用が有効です。家庭裁判所を通じて後見人を選任し、法的な支援を受けることで、財産管理や契約手続きを適切に進めることが可能になります。とりわけ成年後見制度は、売買契約に必要な同意や申立ての正当性を担保し、家族が安心して対応できる環境を整えるための重要な手段です。

 

ただし、制度を利用するには時間や手続きが必要であり、専門的な知識も求められます。そのため、司法書士や弁護士といった専門家に早めに相談し、相続や将来の管理方法についても含めた対策を検討しておくことが重要です。売却を急ぎたいタイミングで制度の準備が整っていないと、大きな損失に繋がるリスクもあります。

 

高齢の親を支える家族にとって、不動産という大きな資産をどう守るかは非常に現実的な課題です。介護や相続の場面でも関わるこの問題に対して、制度を正しく理解し、必要な準備を早めに進めておくことが安心につながります。将来の混乱やトラブルを未然に防ぐためにも、今日からできる一歩を踏み出すことが大切です。

 

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よくある質問

Q. 親が認知症と診断された後でも不動産の売却はできますか
A. 親が所有する不動産を売却するには、売買契約を締結するための意思能力が法的に求められます。判断力が低下している場合、契約が無効と判断されるリスクがあるため、成年後見制度を利用して家庭裁判所から成年後見人を選任する必要があります。後見人の選任には数か月程度の時間がかかることが多く、売却を急ぐ場合は早めの準備と手続きが重要です。

 

Q. 任意後見制度や家族信託はどのタイミングで使うのがいいですか
A. 任意後見や家族信託は、本人に十分な判断力がある段階で契約する必要があり、発症後には利用できません。将来的に認知症が進行する可能性を考慮して、早い段階での準備が損失回避につながります。家族信託では自宅などの居住用不動産を管理しつつ、必要に応じて売却する柔軟な設計が可能になるため、相続対策や介護の負担軽減としても注目されています。

 

Q. 成年後見制度を使った場合、実際に不動産を売却するにはどんな手続きが必要ですか
A. 成年後見人が選任された後、親の代わりに不動産を売却するには家庭裁判所の許可が必要です。これは居住用の物件を処分する際に必須とされ、売買契約前に申立てを行い、正当な理由が認められたうえで初めて売却が可能になります。契約や登記の締結には後見人の代理権が行使され、すべての行為が後見制度のもとで法的に管理されます。信頼できる不動産会社や専門家のサポートを受けることで、スムーズな進行が期待できます。

 

会社概要

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